外国人が日本にいる権利

ビザの話の大前提として、確認しておきたい事項があります。
そもそも外国人には日本にいる権利はあるのでしょうか?

ここに有名な最高裁判例があります。「マクリーン事件」と呼ばれているものです(在留期間更新不許可処分取消請求事件、最高裁判所 昭和50年(行ツ)第120号、昭和53年10月4日大法廷判決)。

「憲法22条1項は、日本国内における居住・移転の自由を保障する旨を規定するにとどまり、外国人がわが国に入国することについてはなんら規定していないものであり、このことは、国際慣習法上、国家は外国人を受け入れる義務を負うものではなく、特別の条約がない限り、外国人を自国内に受け入れるかどうか、また、これを受け入れる場合にいかなる条件を付するかを、当該国家が自由に決定することができるものとされていることと、その考えを同じくするものと解される(最高裁昭和29年(あ)第3594号同32年6月19日大法廷判決・刑集11巻6号1663頁参照)。したがつて、憲法上、外国人は、わが国に入国する自由を保障されているものでないことはもちろん、所論のように在留の権利ないし引き続き在留することを要求しうる権利を保障されているものでもないと解すべきである。」

続いて、外国人が日本に入国したり在留したりすることは、法務大臣の裁量行為による許可であるとも述べられています。

つまり、外国人が日本にいる「権利」ではなく、あくまで「許可」であるということです。

この観点は、とても重要です。ビザ、在留資格等の申請にあたって、権利性をごりごり主張しても審査官の反応は厳しいです。そうではなく、許可をもらいにいく感じのスタンスで、主張・立証すべきです。

ちなみに、在留資格「永住者」について世間で誤った理解が少なくありません。「永住権」と誤って主張している人がいます。永住「権」ではなく、永住「許可」なのです。ビザ申請の専門家である行政書士さんでも、たまに「永住権」と言っている人がいますね。この違いは、とても重要なので、読者の皆さんは間違えないようにしてください。

なお、外国人が日本にいる権利がないからといって、外国人に人権がないということではありません。

同じマクリーン事件最高裁判例では、「憲法第3章の諸規定による基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、わが国に在留する外国人に対しても等しく及ぶものと解すべき」として、外国人にも人権があることを確認しています。

外国人が日本に勝手に入ってきたり、自由に住み続けたりする権利はないけれど、ちゃんと適法に日本に住んでいる外国人には人権が認められる。当然のことですね。私が、勝手にアメリカや中国に入国して住む権利は無いのは、誰だって理解できると思います。また、仮に適法にそれらの国に住んでいて、突然あらゆる自由が制限されるというのも許されるべきではないですね。

そういえば、東南アジアの某国では、外国人が出入国管理局へビザの申請に出頭する際、短パン・サンダル禁止、襟付きのシャツを着ること、と注意されるそうです。権利を主張しに行くのではなく、許可をもらいにいくのですから、それくらいのマナーを要求されても仕方がないと思います。日本の入管では、外国人たちは、短パン・サンダル・Tシャツどころか、サングラスをかけたり、帽子をかぶったままだったりと、かなり自由ですが・・・

入管での服装はともかく、ビザ申請にあたっては、許可をもらうというスタンスで申請書及び付属書類を準備することが重要であることを理解しましょう。